Notes/Dominoを提供するHCLテクノロジーズとは?事業内容、魅力を解説

2019年、Notes/Domino(旧Lotus Notes)はIBM社からHCLテクノロジーズ社へ譲渡されました。

これに伴い、当時のNotes/Domino利用者の間では、「IBM社からHCLテクノロジーズ社へ譲渡されたけれど、このまま使い続けても大丈夫なのか…」と不安を感じる企業も少なくありませんでした。

それから数年が経過し、現在ではこのような不安が払拭されたと感じるユーザーも多い一方で、IBM時代に比べてHCLテクノロジーズ社の知名度がまだ十分に浸透していないのも事実です。

そこで今回は、HCLテクノロジーズ社について理解を深めることを目的に、その企業概要やNotes/Dominoへの取り組みについて解説します。

「Notes/Dominoをこのまま使い続けるべきか?」 とお悩みの方にも役立つ情報となりますので、ぜひ参考にしてください。

HCLテクノロジーズとは

出典元:『HCLTech

HCLテクノロジーズ(HCL Technologies)は、1976年に設立されたIT企業です。インドに本社があり、60か国に拠点があります。

従業員数は約22万5,900人で、売上高は126憶米ドル。世界中の企業から支持されていることは株価のチャートからも分かります。

出典元:『HCLTECH チャート

HCLテクノロジーズは、1978年に8ビットコンピューター、1989年に32ビットのマルチプロセッサを発表して業界を激震させました。

2019年にはIBMの主力製品だったNotes/Domino(製品とエンジニア)を買収しています。買収後、即座にNotes/Dominoをバージョンアップしてモバイルアプリ・クラウドに対応させたことでも話題を集めました。

HCLテクノロジーズはAIやIoTの技術開発、ソフトウェアの販売などに投資をしてきました。その戦略が功を奏し、Brand Finance「グローバル500およびITサービスTop 25に関する2024年レポート」で、最も急成長しているブランドに浮上したと発表しています。

国内でプロモーションがあまり打たれていないため、知名度は低いですが、さまざまな功績を残しているIT企業です。

社名 HCLテクノロジーズ
設立年 1976年
従業員数 約22万5,900人
売上高 126憶米ドル
事業内容 デジタル

エンジニアリング

ソフトウェア

HCLテクノロジーズの3つの事業

HCLテクノロジーズは3つの事業を展開しています。

デジタル

出典元:『HCLTech
デジタル事業では、世界中の企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。

アメリカ合衆国のフォーチュン誌が年1回発行する総収入ランキング(全200社)に入賞している企業の内、78社ものDX推進を行っています。HCLテクノロジーズの独自のアプローチMode1-2-3 戦略が支持されている要因です。

  • Mode 1: ITの最適化
  • Mode 2: 最先端技術の活用
  • Mode 3:イノベーションの推進

エンジニアリング

出典元:『HCLTech

エンジニアリング事業では。さまざまな製品、サービスを開発して、お客様のイノベーションを支援しています。これまで2,000件以上の特許を取得しています。

エンジニアリング事業の強みは、「プロダクト」「プラットフォーム」「製造オペレーション」「ネットワーク・インフラ」と全領域をカバーできることです。

また、他社に先駆けてAIやIoTに投資をしてきたからできるエンド・ツー・エンドの次世代最先端サービスを提供できることが強みとなっています。

HCL社のIT技術力を学べるエンジニアプログラミングカリキュラムは350以上にもなり、世界中のエンジニアが受講しています。

ソフトウェア

出典元:『HCLTech
ソフトウェア事業では、DX支援やデータ分析、オートメーションツールなどを開発して販売しています。

2019年に買収したNotes/Domino(製品とエンジニア)を以下のようにバージョンアップさせて販売しています。

  • モバイルアプリ対応
  • ローコード開発環境の提供を開始
  • サーバー環境のクラウドネイティブ化
  • 非互換による問題の解消

現在のNotes/Dominoライセンスはサブスクリプションモデルに完全移行されています。

HCLテクノロジーズの魅力

HCLテクノロジーズの魅力を3つご紹介します。

ITへの積極的な投資

HCLテクノロジーズは、AIやIoTなどの先端技術への投資を積極的に行い、ソフトウェアの買収を通じて競争優位性を高めています。

2019年には、IBM社からNotes/Dominoを買収しましたが、HCL社が買収したのはソフトウェアだけではありません。

開発に携わるエンジニアも含めて買収し、IBM社よりも高い年収を提示することで、より意欲的に開発に取り組める環境を整えました。

その結果、2019年完全移行後、Notes/Dominoは次々と高度な機能を備えたグループウェアへと進化し、再び注目を集めるようになりました。

こうした積極的な投資と開発戦略こそが、HCLテクノロジーズの大きな強みとなっています。

グローバルでの高い評価

出典元:『HCLTech
HCLテクノロジーズは60か国に拠点があります。22万5,900人の従業員が在籍しており、各国の言語に精通した専門家が顧客対応、文化的理解しプロジェクトを推進します。このような体制で、多種多様な業界のプロジェクトを成功に収めてきました。

金融業界 コアバンキングシステムの統合

リスク管理ソリューション

AIによる顧客体験の向上

製造業界 サプライチェーンの最適化

製品ライフサイクル管理(PLM)

IoT・デジタルツイン技術の導入

ライフサイエンス クラウド移行支援

AI/MLソリューションの提供

エンドユーザー向けアプリケーションの開発

エネルギー スマートグリッドシステムの導入

再生可能エネルギーの最適化支援

通信業界 5Gネットワークの設計と導入

デジタルエクスペリエンス向上

小売業界 電子商取引プラットフォームの構築

顧客データ分析の活用

在庫管理の効率化

物流業界 サプライチェーン管理の自動化

トラッキングシステムの導入

配送の効率化

公共機関 電子政府ソリューション

市民サービスのデジタル化

スマートシティプロジェクトの支援

アメリカ合衆国のフォーチュン誌が年1回発行する総収入ランキング(全200社)に入賞している企業の内、78社ものDX推進を行っていることも強みです。

Mode1-2-3 戦略

出典元:『HCLTech
HCLテクノロジーズのMode1-2-3 戦略は高く評価されています。Mode 1-2-3戦略とは、ITインフラの最適化から新技術の導入、イノベーションまでをトータルサポートするための戦略です。このようなステップを踏むことで、より良い状態を作り出すことを得意としています

Mode 1: ITの最適化
既存のITと業務プロセスを把握した上で効率化・自動化を提案する

Mode 2: 最先端技術の活用
AI、IoT、クラウドなど新技術を駆使した業務効率化を提案する

Mode 3:イノベーションの推進
パートナー企業とコラボレーションして、イノベーションを創造する

日本法人「HCL Japan」

出典元:『HCLTech
HCLテクノロジーズは、日本法人として株式会社エイチシーエル・ジャパン (英語名:HCL JAPAN LTD.)を展開しています。

しかし、国内ではプロモーションや情報提供が十分に行われておらず、どのような企業なのか伝わりにくい状況が続いています。

そのため、Notes/Domino(旧Lotus Notes)を利用しているユーザーの中には、
「IBM社からHCLテクノロジーズ社へ譲渡されたけれど、このまま使い続けても大丈夫なのか…」と不安に感じる方も少なくないかもしれません。

しかし、これは単にHCLテクノロジーズの知名度が低いことが要因であり、同社は実際には非常に優れたIT企業です。また、Notes/Dominoも積極的なバージョンアップによって進化を遂げており、現在では他社製品に引けを取らないグループウェア、アプリケーション開発プラットフォームへと成長しています。

したがって、Notes/Dominoの今後の運用を検討する際には、「知名度が低い=時代遅れ」と安易に判断するのではなく、最新の製品情報やHCL社の戦略を踏まえた上で慎重に判断することを推奨します。

まとめ

HCLテクノロジーズは、インドに本社を構え、60か国に拠点を持つグローバルIT企業です。

従業員数は約22万5,900人、売上高は126億米ドルを超え、最先端技術を駆使したITソリューションを提供しています。

特に、Mode 1-2-3 戦略と呼ばれる独自のアプローチを通じて、世界中の企業から高い信頼を得ています。

また、同社はIBM社からNotes/Domino(旧Lotus Notes)およびエンジニアを買収し、より高度なグループウェアを提供し続けています。

そのため、Notes/Dominoの運用や他社への移行を検討する際には、HCLテクノロジーズがどのような企業なのかを理解した上で、自社に最適な運用、移行方法を選択することが重要です。

弊社では、HCLテクノロジーズに関する知見を活かし、第三者の視点から最適な運用、移行方法を提案いたします。Notes/Dominoの運用、移行についてお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。